モデリングするにあたって、ネットでいろいろ資料を集めます。

主にアニメからのキャプチャーですが、それを見ながらモデリングします。



他の人の描いたここなちゃん絵なども見たのですが、気付いたのは・・・・

似てない、ということ。


ここなちゃんの、いや、ヤマノススメのキャラクターについてはなんとなく描いたのでは

まず、似ません。

柔らかい面の変化が多く、見た目の線の量の割には空間把握力が無いと描けない絵だからです。



まず、目が難しいです。ごらんのように複雑なレイヤーの重なりをしているので、
これを描くのに一苦労します。

最近のアニメは瞳が複雑ですね。



そして、まんまる眼ではムードが出ないので微妙に歪めたりして

作画に近づけていきます。

うまく言えませんが、精巧に描くと似なくなってしまう、アレンジが必要になる作画です。




ポイントがいくつかあります。

三つ編み部分の表現が独特で、リアル三つ編みの描写にすると似なくなってしまいます。

若干、省略されたタッチなんですね。



さらに、

下からのアオリでも三つ編みより上に髪の毛が見えるとか、
頬をかすめる、こめかみの髪が一度ウエーブを作ってるとか、
ヘアピンで留めている髪はこめかみの奥にしまわれているとか、
登頂部付近からの髪の毛は「もっさり」した段差がちょっとある。とか、

サイドの髪の毛は肩付近から3度ウエーブの山があり、最後が跳ねてるとか、
後ろの髪の毛は中央で1回、そして左右から2回ウエーブがあり、最後は交差する、とか、とか。



本編中でも再現されている設定画の特徴を把握します。

これらの特徴が立体になった時に角度を変えて眺めた場合にも、そのまま

成立できるのかは、設定画を描いた人の能力にかかっています。しかし

この絵のクヲリティの高さからして、信頼できそうです。

・・・・めちゃくちゃ上手い絵だと思います。



ペパクラは大概、角度限定のモデルになりがちですが、自分のポリシーとして

いつも全方位適応を心がけていますので、なるべく

ディティールの配置については厳密に確認をします。



なによりも、この華奢で可憐なムードと品のある身のこなしが作れるかが課題でしょう。

ディティールの再現だけでは出てこない「雰囲気」なので、3D化するにあたって

一番大事にしなければならない部分ですね。





で、いままで作ってきたモデルの素体を利用して、ここな顔のテクスチャを貼ります。

こうして調子を見ながら大まかなディティールを伸ばしていきます。

モデリングツールはメタセコイアVar.3を使っています。





ここなちゃんは大部分が髪の毛なので、髪の毛のモデリングには気を使います。

最初はこういう格子状の面を作り、凹凸を作っていきます。


昔は三角を必要に応じてフィーリングで伸ばしていくやり方でしたが、展開図が複雑になるので、

まず、輪切りに出来るような構造のものを凹凸させて作って行き、最終的にポリゴンを

減らす段階になってから斜め線を入れるようにしています。



こんな感じですね。

3Dプリンターで出力するフィギュアのようなモデリングと違って、紙の切片を繋いでいく

ペパクラモデリングは、可能な限りポリゴンを減らす事が大事です。

かといって、あんまり単純だと複雑な形状を表現できなくなります。

この辺のさじ加減が難しいのです。




単純に波打たせて、ボリュームを作っただけでは全然あの髪の毛にならないのが分かります。



しかも、このポリゴンの量の多さではとてもペパクラに組み立てられそうにありません。


描いてしまえば簡単なものも、こうして立体にするとなると、その構造と配置が問題になります。

たとへ上手いことモデリングできたとしても、最終的に

「ここなちゃん」に見えなければ意味がありません。



ポリゴンに貼る絵(テクスチャー)によっても大分出来の良し悪しに影響します。



なんでも絵にしてしまうとペーパークラフトとしての巧みさに欠けますし

あんまり細かくポリゴンで作ってしまうと組み立てられなくなります。

ディティールを「絵」で描くのか、それともポリゴンの凹凸で表現するのかを決めて行きます。

それぞれでふさわしい役割をこなせるようにバランスをとるわけですが、

ポリゴンが悪くて似ないのか、それともテクスチャーが悪くて似ないのかの見極めが難しくなってきます。



ここなちゃんの場合、

ここなちゃんとして成立する為の条件が多く、ディティールが揃ってこないと判断しずらいのに

おでこのヘアスタイルのせいで、作成中の左右対称モードでは見極められません。



だいぶ新の方がクリーンナップされていますが、対称モードから外れて、左右別々の

表現がないと顔の最終判断が出来ないのがお分かりですね。



長いことモデリングをしていると、見慣れてしまって、どこがおかしいのかを判断するのも

難しくなってきます。新旧は見比べればその差は歴然ですが、新が無い状態からそこへ

たどり着くには相当な試行錯誤があるのです。






アニメでは正面からも耳が見えていますが、斜めの髪の毛のアングルを成立させると

厚みで見せるのが難しくなります。

これはここなちゃんに限ったことではなくて、ロングヘアーのキャラクターでは

よくある事です。


3DCGにするにあたって出てくる問題点ですが、工夫のしどころでもあります。

全方位適応である為には、無茶な耳の付け方はできません。

首の生え方や髪の毛の中の頭の位置などに説得力を持たせます。

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