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もうちょっと表情について。

今までペーパークラフトで作るキャラクターは
表情を絵で描いてテクスチャとしてポリゴンに貼っていました。



もしもこのまま大きく作ると


平坦な顔に目や口がただ印刷されているという感じが目立つようになります。

等身大


なんてものも視野に入れておきたいので、描写を細かくしておきたいのです。

実際にどこまで細かくするのか。という事になるわけですが、

今までいくつかのモデルを作成してきて、実現できそうだなあと思う
ポイントをまとめておきます。

イノベーションとは、等身大・眼球だけではない ←


まず、

・眉毛を立体にする。表情を作る上で重要であり、滑らかな線とする。
  そのまま顔のポリゴンに組み込むと膨大な分割になるので、顔から浮かせる事に。
  (作るときは福笑いのようにアナログで位置を決め、貼り付ける)

・鼻は三角ピラミッド形状ではなく、厚みを作り、眉間へとなだらかに繋げる。
  鼻の穴は物理的に作ると辛いので、テクスチャで描く

・目には眼球を入れるが、ペパクラに加工時には眼瞼にそって切削し、まぶたに結合する。
  視線に影響する目の星は別体とし、眼球から浮かせる。(眼球の動作に影響されない)

・唇、人中、ほほの表現をする。ふくれっ面やアヒル口、口元の引きが表現できるように

・口を開けた時にアゴを動かす。歯、舌、口の中が見える。
  口蓋部は細かくなるので、動かさず(ポリゴンがつぶれる)、半開きのまま固定し
  口の形状の工夫でうまく見せる。



2D絵でなら、なんとなく描けるものが、実際に物理的にパーツがある状態で
それを表現するのは難しそうです。

見かけ上のCGでは出来たように見えても、ペーパークラフトは現実世界な為、
つじつまの合わない構造だと作れません。
例えば、紙の面同士が交差していたりする場合です。

果たして出来るのか

というか、見栄え的に大丈夫なのか


と、作成前は不安がいっぱいです。目だけでも難しいのに
表情まで作るというのは、ちょっと欲張りすぎかなあ。と





しかし・・・




これはなんとなく出来てしまいました。


長年絵を描いてきたおかげですね。

最初にやっていたリアル描写寄りのポリゴン分割の修行がおおいに役立っています。



表情によって上の歯を見せたり、下の歯を見せたり、アゴを動かしたりしています。

口の中は動かすと細かいポリゴンがさらにつぶれてペーパークラフトに作れなくなるので
動かしていません。

表情はメタセコイアでモーフとして作成しています。

モーフは元の基礎となる顔のポリゴンをベースとして、それを変形させて作りますが、
ベースの情報からは頂点の移動しかできません。

後で頂点の追加・削除・結合などをすると壊れてしまうので、モーフを作る時は

完成されたベース情報として


ポリゴン割を作っておく必要があります。後でここに分割が必要だった。とか
この位置に頂点を持ってきておけば良かった。なんて事になりがちですが、

それはできません・・・


それががマジ辛かったです。目をきれいにつぶる為のポリゴン割りにするために
何回かモーフベースからの作り直しをしました。

普通のMMDモデルのように顔がメッシュ状に細けければ、作業を逆戻りして
一からモーフの作り直しなんて事にはならないのでしょうけども・・・



PMXEに取り込んだ後、各モーフを登録して表情を作るのは

こんな感じ。


各モーフに対して変化量を調節して組み合わせることにより、微妙な表情が作れます。

これがそのままペーパークラフトで組み立てられる(ようになる)わけですからね。
クラフターのはしくれとして、

非常にワクワクします。


モーフ作成時に気を使ったところは



目を閉じた時のまつげ表現

まぶたの頂点を伸ばして目を閉じたモーフを作るわけですが、
その際、テクスチャの伸縮に負けずにまつげが残っていないといけません。

つまり目のワクのフチには、まつ毛表現の為の塗りがあるわけです。



上の図のように眼球を覆うようにまぶたの頂点を移動してモーフを作ります。

貼り付けたテクスチャはどうしても歪むので、繊細なまつげ表現は難しくなります。

個別に「まつ毛」部分だけのテクスチャを貼ったポリゴンを作ればいいのですが、

複雑になりますし、先の追視モデルで試したところ、あまり良い結果にならなかった為、
あえて付けませんでした。



アヒル口(キス口?)は空いた口の中が空洞なのと、図のように歯が見える
バージョンを作れるようにしています。(白い板が奥から出現しますw)

これは中の口蓋部が半開きなせいですが、表情を作る上で歯が必要なことに
あらためて気付きました。

この時すでにいくつかの表情モーフを作った後だったので、作ったモーフを捨てられず、
この白い板の為だけに別のモーフベースを作りました。

ちかたないのです。




ふくれっ面はほっぺたが膨らみ、口の位置も前後に変化します。

実際にこの顔をペパクラ化するか分かりませんが、こんな顔のできるMMDモデル
を見かけなかったので、作ってみました。



左右別々の変化をさせるモーフの組み合わせも出来ます。

これは俗にいう「にやり」という口と左右のウインクの変化量をそれぞれ違えてあります。

ちょっとスレた不良っ子も、内気な清純っ子も表情一つで演出できます。



ちょっとだけ「にやり」が入っています。口元が微妙に左右違うだけで
よりヒトっぽくなります。


自分の作ったキャラクターがこうして色んな表情を見せるというのは、

それだけで楽しいし、意外な発見があります。

難しいとはいえ、ひと昔前の3DCGの難解さ・とっつきにくさに比べたら
はるかに簡単に、そして高機能なものを作れるようになりました。

たしかに今の世の中は優秀なMMDモデルで溢れかえっていて、
これを作ったからといって別にたまげるような事ではないのかもしれません。

しかし、CG1枚をコンピュータで描く事さえ難しかった時代の人間にとっては
まさに夢のような事なのです。

素晴らしいぞ!MMD



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