やよい 等身大ペーパークラフト作ってみた


やよいの話の前に・・・

いおりんは1mサイズでしたが、等身大にしなかったのには理由があります。





それは「不気味の谷」と呼ばれる、人が人形に感じる恐怖のためです。

人は元々、自分の体の各パーツや配置について、厳密なスケール感覚を持っています。
表現がリアルになればなる程、そこから外れた人型に対して「規格外」としての
不安を感じるようになっています。

特に顔については、重要な意味がある為、なおさら基準が厳しくなっています。
小さなフィギュアでは気にならない頭の大きさも、大きくなった途端に
違和感を感じるものなのです。

その中で、大きくなってもギリギリ可愛く感じられるサイズが1mということで、
伊織のサイズとなっていました・・・・。

やよいはご存知の通り、私のペパクラ第1号でもあり、
ニコニコ動画で初投稿から評判になった、記念すべきモデルです。



あれから2年半が経ち、さすがに気になる部分が出てきました・・・
そろそろ作り直したいと思います。

でも、ただ作り直すのではなんとなく寂しい気がします。
それに、作り直したからといって、古いモデルをポイしてしまうのも、かわいそうです。

等身大

それはペーパークラフトにとって、一つの到達点でもあり、キャラクターを作る上での
理想でもあります。自分にとっての初めての等身大モデル、それを

大きなステップだからこそ、「やよい」に。





そう思うと、ふさわしい対価として、旧モデルにも納得してもらえるのではないでしょうか。

( ̄∇ ̄)

作る前にじっくりと、どうしたら良いモデルになるのかを考えます。
まずは等身大にするにあたってポイントを決めます。

ポイントは2つ

1つ目は・・・モデリングの際、実際の目で見た大きさを意識して作る。
2つ目は・・・実物大として、説得力を細部のディティールに持たせる。


以上を意識して作っていきます。

普通、ポリゴンを使ってモデリングする場合はあらかじめイラストを平面に貼っておいてから



その上で輪郭をなぞるように線を引き、ポリゴンを配置していきます。

これは一般的な方法です。

元絵が無くても作れる人は居ますが、 最終的なパーツの位置すり合わせをする時には
同様の作業をしていると思います。

ここで問題なのは、アイマスが元から立体の3DCGだという点です。
つまり、視点からのパースが周辺に既に付いていて、単純な平面画では無いということです。
多少のパースが付いていても、サイズが小さければ(視点が遠ければ)
ほぼ平行視点で見えているので、問題はありません・・・。


しかし、実際の等身大になると被写体へのパースがもっときつく付きます。


被写体が大きくなるという事は、単純に平均的に拡大されるのではなく
視点からの距離に応じて各パーツへの深度が付くわけです。

ポニテの位置が大きく変化しているのがわかると思います。
普段ゲーム画面で見慣れているやよいとは違うアングルですね。
と、いうことはゲーム画面でアップになる時は、近くにカメラが寄っているのではなく、
望遠で撮っている映像を拡大して見せられている。ということです・・・。

やよいを等身大に大きくした場合、人の目でそばに寄ってみると・・・



こう見えます。

トレードマークのポニテは後ろに回りこんで、別人のようですね。
また、マンガ頭身である為に頭が大きく(スイカレベルの大きさになります)
胸部は頭一個分の幅しかないので、あっちの世界の住人である事がさらに強調されます。


これではせっかく実物大のやよいを作っても、自分とはまったく違う物体になってしまいます。
(着ぐるみショーを想像するとわかり易いと思います。)
とくに等身の低いロリトリオでは、これが顕著になります。

この問題を解決するためには、平行視点の画像をトレースする事で
パーツのディメンションを決めるのではなく、



実際のスケール視点で見た深度でパーツを配置しなおして、且つ
ヒトに見える為のリ・モデリングを行う必要があります。



右がノーマル。左が調整を行ったモデル。


頭を小さく、胴体を大きく、お尻を大きく、首も太くなっています。

特に髪の毛は、やよいの特徴であるポニテの存在感を残しつつ、小さくします。
実際のスケールで見て、細かい調整をします。


顔は表情のテクスチャを変えて目を小さく、ちょっぴり寄り目にしています。
髪のテカリもブロックハイライトではなくて、ヘアライン調に



これにより、オリジナルのやよいからは少しテイストが変わってしまいます。
・・・やよいファンからはコレジャナイと評価を頂く事になるかもしれません・・・

しかし、カメラを通して見た画像ではピンとこなくても、実際に隣に来た時に
大きな差になります。

これは等身大モデリングのさきがけとして評してもらえるか、魅力無しとして
失敗するのか、賭けになりますね・・・(`・ω・´)



アイマスは衣装が重要なポイントです。想像以上に中身(体)はほっそりしています。
むしろ、それがムチムチし過ぎなくて、可愛く見える理由なのかもしれません。

これはアイマスキャラをモデリングした経験のある人間なら、誰もが感じる事だと思います。

今回はあえてそれを崩して、重量感を増すことで実在感を出す。という方法をとります。



顔の面構成は一新しました。眼瞼部分の目の窪みを作り、鼻を従来のピラミッド形状から
おでこまで繋がる山脈へとグレードアップしています。
これは顔のツギハギ感が増す上、リアルブキミへと繋がる危険のある試みですw

また、簡単にですが、口蓋も作ってあります。この大きさになると口がプリントだと目立ちます。

ある人が得意としている、目の別パーツ化は今回はやりません。
もっとリアルになった時に、例えば口の中を作る必要が生じた時などに眼球ごとやります。




トレーナーやスカートは小さいスケールなら円柱形状でも問題無いのですが、
等身大サイズになるとそうもいきません。



出来上がったものにシワを寄せても、ただの作成時の粗にしか見えないので、わざわざ
それ様にポリゴンを分割して服のシワを作っています。



デニムスカートはヒラヒラのワンピなどと違って、座っている形にシワが残ると思い、
座り皺を作ってやよいの生活感を演出してみますw

こうしたリアリティ追求の為に大量のポリゴンが増えていく事になります・・・

出来上がったポリゴンデータをいつものように、ペパクラデザイナーに読み込みます。



5264ポリゴン・・・やっちまった感があります。

でも、ただ作るというより、あちこち工夫した部分が思った通りのものに
仕上がるのか、という興味の方が、面倒くささを上回ります。



飽きずに続けるには、自分で興味を持てる課題を盛り込む事が重要ですね。



ちなみに、これが頭の大きさを考慮せず、そのまま身長150cmに引き伸ばした状態。



頭がでかすぎですね・・・。特にやよいは他のキャラと比べると髪の毛が大きいので、
このまま作ると、とんでもない大きさになります。



これが鼻の形状が大丈夫かどうか、テストしてみた状態。
目が大きくて、ちょっとマンガチックです。



大きかったり、小さかったり、濃かったり、薄かったり・・・

計4つ、頭の試作を作りました。そのたびに体全体の見直しも行うので
果てしなく時間が過ぎて行きます。

ようやく、本格的に組み立てに入ったのは作り始めてから3ヶ月くらい経ってでしょうか。
まあ、仕事が忙しくて、なかなか集中できない時期もあったのですが・・・。


なんとか納得するレベルのものになりそうなので、本番制作にとりかかります。



印刷枚数はA4サイズで大体100枚くらい。

いっぺんに印刷すると、枚数が多すぎてわけが分からなくなるので、
パーツごとに分けて印刷します。



顔の造形です。だいぶ情報量が増えました。



これだけでも、以前の発想からするとサプライズです。

こうした曲面の連続構成はなかなか紙で表現するのは難しいのです。



もうちょっと上唇に配慮があってもよかったかもしれませんね・・・。

顔にさんざんの切れ込み線が入っているので、段差を目立たなくするのに
神経を使います。



顔だけ作るのに丸1日かかってしまいました。



首は巨大のりしろというか、大きな「接着補強版」付きになっています。
実際の補強そのものはウレタンで行うのですが、こうすると形状保持の精度が上がります。

くにょくにょの構造体へウレタンを吹き込んでも、変形して固まるだけですからね。



頭の中と一部顔の表情を固定するためにも、補強板(厚紙)を別途貼っています。





中身はウレタンフォームで満たされ補強されます。

狭い部分まで行き渡って固まるので、すこぶる丈夫なものになります。
ハゲ部分はポニテが付く部分なので、接着のアタリが良くなるように削っています。

ウレタンフォームの扱いについては「企業秘密」ということで。
実際はかなりグロい感じで作業するのですw。



このウレタンフォームについて

純粋なペーパークラフトではないという指摘もありますが、
本来、私はペーパークラフトをやりたくて始めたわけではなくて、
妄想を具現化できる手段として,、たまたま紙工作があったにすぎないのです。
特に紙である事にこだわりはありませんねー。



謎の物体が完成。この物体をモデリングするのにどれだけの愚か者が
日夜励んでいることか・・・



やよいのポニテは確かに作るのが大変ですが、
むしろ、こうした意味のない形状のものを機械的にちまちま作る事の方が苦痛・・・。

シュシュにはかなりの力が掛かるので、中にはペットボトルの蓋が内臓されていて、
ポニテの重量に負けないようになっています。





横髪は眺めた時の質感向上の為、中空構造になっていて、面は閉じています。
唯一、前髪だけが裏表の張り合わせになっていて、板状になっています。


のびのびトレーナー。





ウレタンは固まってしまうと動かせなくなるので、固定する順番を考えなければなりません。
他のパーツとのジョイント部分の形状を維持したまま行わないと、繋がらなくなります。

ここまで作るのには、かなりの労力を費やしており、もう一度作る気になれません。
もし失敗したりなんかしたら

地球破壊ビームヽ(`Д´)ノ

を発射したくなります・・・・。

どうやら、この宇宙が健在なのはうまく作れたからのようですが・・・



スカートの座り皺の部分アップ。細かい段差表現の為、紙片が多くなっています。

しかし、形になるにつれ



それがどんなに面倒な作業であっても、必要な事だったと確信します。



これがつるーんぺたんとした形状だったら、ちょっとつまらないですよね。

スカートの上からでも中身が詰まっているのが分かるのが大事です。
こうしたディティールアップは大きなモデルでは必須ですね。
(重い一言w)



と、いうところで物語は佳境にさしかかり・・・



重要なパーツへと作成は進みます。

足は人間の体の中でも一番大きな部位で、モチーフが女性である以上、仕上がりには
細心の注意を払う(きれいに作る)必要があります。

この大きさの円柱だと、ちょっと紙面を 「くじく」 だけで、痕が付いてしまいます。
なるべく触れないように気を付けて組み立てます。

長いのりしろをぴったりとくっ付ける技術が必要で、一発芸的な所があります。

そして・・・



見えようが見えまいが、存在している事が重要ですので、ここに手抜きはできません。
しっかりと別パーツで作って、上から「着ている」状態にします。



さすがに動画では使えない絵なので、WEBだけのサービスカットになります。



まあ、マネキンかと思えば別にどうってことありません。単なる人体模型ですw



チラ・・・と。

ふう。

今回は靴の造形にもこだわっています。丁度23か24cmくらいの実物大になっています。





べろちょろん。

見かけによらず、ポリゴンが多かったです。


かつらをかぶる前の貴重な映像



徐々にパーツを繋げていきます



・・・ここまで来ると完成を確信します。

机の上にある段階で、すごい存在感があります。

スリバチ状にへこんだトレーナーにスカートの上部が刺さるような構造になっていて
多少は動かせるので、ここで重心をとれば自立するかもしれません。

うれしくって、うれしくって、一人部屋の中で小踊りしていました。

お前・・・

って感じですが、アイマスに魂もっていかれちゃってる人なら分かってもらえると思います。



最後に、靴ヒモやピンバッジなど細かい装飾を作りまして・・・。



装着・・・と

そして









おおおお・・・・



でけえ。


おおおおおおー!!



やよい、大地に立つッ!

置いたその場で自立したので、ちょっと笑った。

結局、半年近くかかりましたが、どうにか作れました。
例によって、ニコニコ動画にPVをアップしています。久々に1万アクセスを越えました。

みんな目が肥えてしまってペパクラというだけでは注目されないので、なかなか厳しいですが

今後も好きなものはマイナーキャラでもどんどん作っていきますので、お楽しみに。
やよいの写真は動画リンク下のギャラリーにまとめましたので、どうぞご覧ください。





ニコニコ動画にPVをアップしています。見てね。

高槻やよい 等身大ペーパークラフト作ってみた([smile video])



ζ*'ヮ')ζやよいギャラリー

Bonus Gallery (High Resolution Pictures)



 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

   

   

 

 

 

   

 

   

 

   

 

     



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